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笠森観音

笠森観音
正式名称/別称だいひざん かさもりじ かんのんどう
大悲山 笠森寺 観音堂
規模
★★★★☆
斜面部:自然懸崖
懸造り部:木造 四方懸造り 桁行六間 梁間八間 貫四段 懸崖型 束柱61本高さ34m 外側階段あり(木製、屋根付)
上屋部:木造 寄棟造り 銅板葺き 桁行五間 梁間四間 勾欄付廻縁 土足禁止
文化的価値
★★★★★
重要文化財
奇想遺産
日本木造遺産
長元元(1028)年 建立
文禄6(1597)年 再建
昭和33〜35(1958〜1960)年 解体修理
宗教的価値
★★★★☆
本尊:十一面観世音菩薩
開基:伝教大師最澄
坂東三十三観音札所(霊場) 第三十一番
秘境度
★★★★★
天然記念物「笠森寺自然林」
千葉県立笠森鶴舞自然公園
山道なし 石段あり
〒297-0125
千葉県長生郡長南町笠森302
眺望
★★★☆☆
四面より見渡せるが、森林に囲まれている
館山の崖の観音に行った翌日、房総半島のちょうど中央部、山あいのひっそりとした豊かな森の奥にある笠森寺(かさもりじ)へ向かった。ここの観音堂は日本の懸造りの中でも特に有名で、古くから坂東三十三観音札所の第三十一番笠森観音としても名が知られているようだ。
笠森観音1
駐車場から観音堂へ至る参道の周りは、千葉県立の自然公園になっていて緑が深く、 立派な巨木が立ち並んでいた
笠森観音2
二天門をくぐると、重要文化財にも指定されている笠森観音が見えてきた!
笠森観音3
山頂のゴツゴツとした岩を完全に覆い被さるように建てられているのが、 「四方懸造り」というこの観音堂の最大の特徴
笠森観音4
スリッパに履き替えて木造の階段を昇っていくと、 その特異な建て方がよ〜く実感できた
笠森観音5
狭くて天井も低いこの急な階段は、登りきった後の眺望をとても期待させられた
笠森観音6
最上階をぐるっと一周できる廻縁からは、緑の森が全面に見渡せて、気持ちよかった
笠森観音7
岩の凹凸にあわせ、異なる高さの柱を自在に組み合わせるなんて、 恐るべき建築レベルの高さ!
笠森観音8
こうして見ると懸造りとは、自然と対峙しつつも、 人間が自然と共存していくための象徴といえるのかもしれない
PHOTO BY OLYMPUS E-620, MAY 2009

古文書・古画に見る懸造り

『諸国名所百景 上総笠森寺岩作り観音』

浮世絵
二代目歌川広重 画
安政6(1859)年 制作
笠森観音・浮世絵
笠森観音でもらえるパンフレットにも載っている浮世絵。 ものすごく誇張はされているものの、 岩山を取り囲んだ「四方懸造り」の雰囲気をよく表している。 先にこの絵を見て、こんな建物、ホントにあるのか??と疑いの眼を持ちながら、 いざ現地に行ってみると、きっと納得させられるに違いない。 例えばこれを「古代の世界七不思議」に出てくる「バビロンの空中庭園」よろしく、 「空中観音堂」と仮に称しても、参詣した者ならばあながち嘘ではないといえるだろう。
写真や交通の便も発達していない古き時代の人々にとっては、 こういったイメージの様々な著作こそが、巡礼や漫遊の旅へとかき立てるのだろう。

『日蓮上人御影』

絵馬
狩野安信 画
笠森観音・絵馬
笠森観音堂内の日蓮上人参籠の間に掲げられている絵馬で、 江戸時代初期の狩野派の絵師・狩野安信が描いたものである。 建長5(1253)年4月に日蓮上人が観音堂へ参籠した折に、 地元の墨田五郎時光が上人の説法を聞きに訪れ、その後帰依したことを表している。 その内容は笠森寺縁記にも記されている。

その他

『笠森観音 20分の1ジオラマ』

模型
笠森観音・ジオラマ
千葉県立中央博物館の「房総の歴史」エリアの中央部に展示されている、 20分の1スケールの笠森観音堂のジオラマ。 桁行、梁間、貫を数えたところ、完璧なまでに合っていた。 学芸員の方いわく、この模型製作に普通の家一軒分ぐらいの費用がかかったとのこと。 博物館では、稀に笠森観音や懸造りに関するミュージアム・トークや講座を行っているようだ。