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勝画楼

勝画楼
正式名称/別称しょうがろう
勝画楼
規模
★★★☆☆
斜面部:自然懸崖
懸造り部:木造
上屋部:木造 寄棟造り トタン葺き 立入禁止
文化的価値
★★☆☆☆
日本遺産
塩竈市指定有形文化財
18世紀中頃 建立
平成31(2019)年 修理
伊達系
宗教的価値
★★☆☆☆
塩釜神社の別当、旧法蓮寺の書院だった
秘境度
★★☆☆☆
山道なし 石段あり
〒985-0051
宮城県塩竈市本町6-1
JR仙石線本塩釜駅より徒歩約15分
眺望
★★☆☆☆
東面よりほぼ三面、塩竈市街や松島湾が見渡せるのだろう
陸奥国一宮として知られる塩釜神社(しおがまじんじゃ)の別当だった法蓮寺(ほうれんじ)という寺院に、勝画楼(しょうがろう)という書院があった。明治の廃仏毀釈で廃寺となった後は、一時期、料亭としても使われて残っていたが、老朽化で損壊の危険性があるため、現在の所有者である塩釜神社が平成28年12月に解体することを決定した。
宮城県内に残る唯一の木造懸造りなので、愛媛県大洲市の少彦名神社 参籠殿の取り組みなどを見習って、なんとか保存してほしいものだ。
勝画楼1
明治9年、明治天皇の塩釜神社御参拝の折に、御休憩所としても使われた
勝画楼2
仙台藩五代伊達吉村により、絵(画)にも勝る景色という意味から 名付けられたというが、そりゃあ、実際の風景のほうが美しいでしょう
勝画楼3
塩釜神社、旧法蓮寺一帯の東側の突端に位置している
料亭としては、松島湾を見下せる眺望が売りだったに違いない
勝画楼4
塩釜神社の表参道(表坂)
斜度45度はあろうかという202段の急坂
ここ以外にも他に二ヶ所、緩めの参道があるのでご安心を
PHOTO BY OLYMPUS E-620, DEC. 2016
東北地方の太平洋岸に残る懸造りは、東日本大震災をはじめとする巨大地震をいくつも耐え抜いてきたということ。木造懸造りの恐るべき耐震性を証明した、超貴重な存在ということである。現在の建築基準では新規に建てることはできないが、斜面を利用して、災害に備えた建物ができることを示した一例といえるだろう。

(2018年10月追記)
勝画楼の解体が決定されて以降、保存に向けた運動が行われた。建物の所有者が塩釜神社から塩竈市に移り、2018年に市の有形文化財にも指定された。今後、県や国の文化財指定も目指すという。まずは保存が決定して喜ばしいところだが、早く建物の内外を見学できるレベルまで、諸々の整備が進むことを願う。

古文書・古画に見る懸造り

『奥州名所図会 其二 裏坂 別當 金光明山 法蓮寺』 (部分拡大)

地誌
大場雄淵 著
江戸時代後期 刊行
塩釜神社 勝画楼・地誌
仙台大崎八幡宮の神職で俳人でもあった大場雄淵が、江戸時代仙台領の名所旧跡・故事・伝承などを記した地誌である。
塩釜神社と法蓮寺一帯を示した図で、右端の崖に「勝画ろう」という文字と懸造りが確認できる。 当時の法蓮寺は、かなりの規模の伽藍配置だったようだ。