HOME 懸造りコレクション 懸造り一覧(都道府県別) 懸造り一覧(宗教別)
懸造り訪問履歴 懸造りランキング 懸造り用語集 古文書・古画集
真田氏と懸造り 掲示板 参考文献、リンク集 更新履歴
番外編:仏塔 番外編:さざえ堂 番外編:天守 番外編:湯屋

臥龍山荘
不老庵

臥龍山荘 不老庵
正式名称/別称がりゅうさんそう ふろうあん
臥龍山荘 不老庵
規模
★★☆☆☆
斜面部:自然懸崖+一部整地基壇(石垣) 川あり
懸造り部:木造 桁行五間 梁間四間 貫四段 懸崖型
上屋部:木造 寄棟数寄屋造り 茅葺き 桁行三間 梁間二間 土足禁止
文化的価値
★★★★☆
重要文化財
NHK 世界名建築100選
ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン ★一つ星
明治34(1901)年 建立
平成8(1996)年 解体修理
宗教的価値
★☆☆☆☆
なし
秘境度
★★★☆☆
山道なし 石段あり
〒795-0012
愛媛県大洲市大洲411-2
眺望
★★★☆☆
南面よりほぼ三面、眼下を流れる肱川の臥龍淵や冨士山が見渡せる
大洲市内四件目の懸造りがある、臥龍山荘(がりゅうさんそう)を訪れた。少彦名神社から始まって、ここまでわずか3時間程度。この密度の濃い城下町には、全くもって驚くばかりだ。この臥龍山荘も建物の数こそは少ないが、様々な要素がぎゅっと詰まった、非常に日本的な空間だった。
臥龍山荘 不老庵1
臥龍山荘へ向かう途中の大洲市中心部には、石畳や赤レンガ館、 明治の家並みなど、古き良き風景が残されていた
臥龍山荘 不老庵2
臥龍山荘に着き黒門をくぐると、石垣の間からニョッキリ伸びたチシャノキがご挨拶
臥龍山荘 不老庵3
山荘に入って最初の見どころ、茅葺き屋根で書院造りの臥龍院
京都の桂離宮や修学院離宮などがモデルになっている
臥龍山荘 不老庵4
苔むした庭園を飛石づたいに歩いていくと、肱川に面した不老庵が見えてくる
臥龍山荘 不老庵5
この庵全体を舟に見立てて、かまぼこのような 穹窿(きゅうりゅう)状竹網代(たけあじろ)張りという 趣向を凝らした天井になっている
臥龍山荘 不老庵6
高さを感じる廻縁からの眺め
真下には肱川を行く渡し舟も見える
対岸の山中にある建物は、如法寺のすぐ下にある帝京中学校・高等学校
臥龍山荘 不老庵7
臥龍山荘の由来、龍が伏したように見える蓬莱島(山)
その突端にある東屋は、不老庵を眺められるちょうど良いポイント
臥龍山荘 不老庵8
臥龍淵の対岸から見上げた不老庵
絶壁だが、眺望が抜群な位置に建っている
PHOTO BY OLYMPUS E-620, MAY 2017
さて、ここまで大洲市の懸造りをめぐってみて、この密度の濃さは、真田氏の里の一つ長野市の松代以上かと思えた。なぜこの地域に密集しているのかを考えるのに、大洲市や肱川のことを調べてみると、不思議と松代に共通する事項を見つけた。「盆地」「城下町」「水害」「朝霧」である。真田のページでも懸造りが多い理由として、水害を含む天災に備えるためと、治水利水に力を入れた城主を挙げたが、前述の要素のうちこれにハマらず残ったのが「朝霧」になる。
朝霧が多い地域だと、懸造りを建てたくなるのだろうか。低い位置に立ち込める霧を高い崖の上や山の斜面から望むには、懸造りは確かにうってつけの建築ではある。
蛇足だが、松代からもほど近い筆者の郷里・長野県須坂市には、臥竜山、臥竜公園、竜ヶ池という名所があり、また古い蔵が残る製糸業の町であることから、この大洲はとても他の地に来た気がせず、親近感を覚えた。ちなみに須坂にも蔵の町並みの一角に、懸造りが一つ存在する。